三段跳びに求められる腱の鍛え方を開発。研究者とコーチ、2つの視点で選手を育成。
(武庫川女子大学 キャンパスガイド2025から転載)
昼間は健康・スポーツ科学に関する授業と腱の研究を行い、夕方からはグラウンドに出て跳躍コーチを務め、二刀流の日々を送る伊東教授。
三段跳びは、高速で助走し3歩で水平の距離を測定するが、一足ごとに体重の約15倍の衝撃を受けるといわれている。
そのため、足の筋と腱には衝撃を片足で受け止めて跳躍のバネに変える強靭さが要求されるが、筋肉を鍛えると肥大して体重が重くなり足への衝撃も大きくなる。
そこで、伊東教授は腱の硬さに着目し、記録アップにつなげるため腱のトレーニング方法の研究を進めている。
学生時代に競技者として三段跳びに励んだ経験を生かしつつ、科学的データに基づいて選手を育成しているのだ。
また、状況を察知して素早く頭で判断し、体を動かす調整力を育む「コオーディネーショントレーニング」にも精通している。
三段跳びは助走が命だが、速く走る際、足と地面との接地時間はわずか約0.06秒で、いかに地面を強く蹴り上げるかが重要となる。
そのための調整力を養うトレーニングプランについても研究し成果を挙げている。
さらに、選手が大事な大会でベストパフォーマンスを発揮するために、1年間をいくつかのシーズンに期分けしてトレーニングを計画する「ピリオダイゼーション」の研究も進め、選手たちの練習プランに導入。
「選手とは対等な目線でよく話し合い、グラウンドもラボと考えて研究し実践している。世界の舞台に一人でも多くの選手を輩出したい」と語る伊東教授のまなざしは熱い。
PROFILE
京都工芸繊維大学で博士号取得(学術博士)。
武庫川女子大学健康・スポーツ科学部教授と陸上競技部監督 (跳躍コーチ) を兼任。
2023年日本学生選手権において40年ぶりに女子総合第8位入賞にチームを導いた。
教え子に走幅跳日本記録保持者の秦澄美鈴選手や三段跳日本学生記録保持者の船田茜理選手など多くのトップアスリートがいる。