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【先生の研究力#4】食創造科学科 義澤克彦教授(食品安全学研究室) 食物由来物質によるヒト疾患の新規治療法を確立したい

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獣医師であり、医学博士でもある義澤先生。大学院修了後は、製薬会社の研究員として新薬の開発研究をしていた。当時働いていた製薬会社の研究科には1500人もの研究員がおり、義澤先生も30人規模のプロジェクトを率いる管理職だったという。45歳で製薬会社を退職し、大学教員に転身。きっかけは、所属する学術団体で若手研究者に経験や知識をレクチャーする機会があり、教える楽しさに目覚めたからだ。これまで、武庫川女子大学で学士59人、修士4人、論文博士2人、関西医科大学で博士課程10人以上を指導してきた。


研究テーマは、「化学物質の生態への影響を調べ、食物由来物質によるヒト疾患の新規治療法を確立すること」。製薬会社員だった2004年には、客員研究員として米国国立環境衛生科学研究所に留学した。アメリカでは、ダイオキシンの毒性の研究や、痩身作用があるとされるサプリメント「カバカバ」や「エフェドラ」を研究。これらは大量に摂取すると肝臓障害を引き起こす。アメリカでは、「サプリで手っ取り早く痩せたい」と安易にサプリを服用する人が多く、社会問題になっていた。義澤先生は、エフェドラをコーヒーと一緒に飲むと心臓に障害が起きるメカニズムの研究に取り組んだ。


義澤研究室では、食品メーカーとの共同研究も盛ん。視力低下、視野狭窄を引き起こす網膜色素変性症の発症や進行を「アセロラ」や「ミネラル」を摂取することで、遅らせることができるかを動物実験で研究した。網膜色素変性症は、治療法が確立されていない。発症を遅らせることができれば、当事者にとっては人生が変わるほどのインパクトがある。
論文発表時には、実際に当事者から連絡があり、社会で大きな関心が寄せられている事を実感した。


実験の面白さについて、義澤先生は「予想と違う結果が出ても、予想通りの結果が出ても、それぞれ面白い」と語る。「研究は個人のイメージがあるかもしれないが、うちの研究室は、『みんなでやる』がモットー。動物実験は一人ではできないし、企業に就職しても仕事は一人ではできません。週1回のグループディスカッションや、日常的なコミュニケーションを大切にしている」と話す。


サプリや薬を正しく服用し、健康被害が起きないようにするため、これまでに独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」やJMPR/WHO(FAO/WHO合同残留農薬専門家会議)の専門委員として、経験や知識を社会に還元してきた。WHO本部のジュネーブに招聘されたことや、JMPR/WHO報告書にも義澤先生の名前が記されている。現在も、研究室の指導や講義の傍ら、内閣府食品安全委員会専門委員として、残留農薬の安全性の評価をしている。「退官後は、国際的な仕事も思う存分引き受け、社会に貢献したい」とほほ笑む。