お知らせ

第2回サイエンス・コモンズ セミナーを開催しました。

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2025年6月25日(水)、中央キャンパス公江記念館(KM館)7階プロジェクトラウンジにて、第2回サイエンス・コモンズセミナーが開催されました。本学の教職員・大学院生に加え、学外からも多くの方にご参加いただき、対面25名、オンライン22名の合計47名が熱心に耳を傾けました。

サイエンス・コモンズセミナーは、武庫川女子大学が誇る各分野の第一線で活躍する研究者が、多様な研究テーマを広く学内外に発信する場です。参加者の皆様には、本学の研究に触れることで新たな学びを得ていただき、分野を超えた研究交流や連携の機会を創出することを目指しています。

第2回となる今回は、生活環境学部生活環境学科の鎌田誠史教授にご登壇いただき、「エーゲ海・南西諸島の生存環境から見た島々の美しい暮らし方」と題してご講演いただきました。

鎌田先生の最近の研究の主軸は、南西諸島の厳しい環境下で育まれた独自の生存文化「シマ」です。人々が生き抜く知恵として形成されたこの「シマ」の空間秩序と原理を解明し、持続可能な集落デザインを模索されています。

講演では、鎌田先生が長年取り組んでこられた日本の南西諸島の集落とエーゲ海の集落に関する学術的な研究について、詳細にお話しいただきました。

南西諸島の集落については、琉球王国の政治家であった蔡温(さいおん)による村落計画を詳細に解説。先人たちが厳しい自然環境の中で培ってきた独自の「生存文化」の秀逸さについて、熱のこもった説明がありました。

また、エーゲ海・キクラデス諸島の集落研究については、鎌田先生が実際に1年間現地に住み込みながら調査された内容を、豊富な写真や動画を交えながらご紹介いただきました。

日本の南西諸島とエーゲ海のキクラデス諸島は、一見すると遠く離れた地域ですが、厳しい自然条件、集落形成の原理、そして聖なる空間のあり方といった多様な共通性があること、さらには抱える課題までもが類似していることが浮き彫りになったそうです。

鎌田先生は、これらの集落研究を通じて得られた「生存のデザイン」のさらなる探求を掲げ、今後は南西諸島の集落に関する決定版の公開、産官学連携プロジェクトの推進、そして日本とヨーロッパの学際的な研究連携による新学術領域の開拓を目指されると語られました。

集落研究は、単に「過去を記録する学問」にとどまらず、「未来を構想する実践知」へと進化し、現代社会が直面する複雑な課題に対し、持続可能な社会を築くための貴重な示唆を与えてくれると力強く締めくくられました。

参加者からは、今回のセミナーを通じて多くの学びと刺激があったという声が寄せられました。

  • 「研究分野は異なりますが、国境を越えたチャレンジをされてこられた、アグレッシブな研究マインドからエネルギーをいただきました。国内外の様々な分野の方々と広く信頼関係を構築され、何より楽しんで研究をされているのが強く印象に残りました。」
  • 「お話を聴いて現在の周囲の街並みを思い返すと、同じようなビルやマンションが立ち並んだ画一的な開発のされ方をしているところに違和感を感じました。先人たちが築き上げてきたものには必ず根拠が存在していると思うので、それを読み解いた上で、未来を考えることが大切だと痛感しました。」
  • 「限られた環境や資源を活かした村(シマ)づくりという観点は興味深かったです。現在の地域社会で『シマ』的な観点から環境問題を考えていければ、などと妄想しました。」

日時 2025年7月30日(水)15:00~17:00
場所 中央キャンパス 公江記念館(KM館)3階 ゲストランウンジ
詳細 第3回 サイエンス・コモンズ セミナーのご案内 – サイエンス・コモンズ Science Commons